箸の歴史


お子さんやお孫さんの誕生を祝って名入れ箸をご購入される方も多くいらっしゃるでしょう。
まだ誕生したばかりの赤ちゃんに名入れ箸を贈るのは、可笑しな贈り物と思われる方もいるといらっしゃるかもしれませんが、この贈り物の意味には、「生まれてこれから食べる物に困りませんように」という願いが込められているのです。
ですが、なぜ日本人はお箸を使用して食事をするのかと、ふと疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか?
そして、その歴史を詳しく知っているという方は多くいらっしゃらないでしょう。
そこで今回は、その箸の歴史についてご紹介をさせて頂きます。

我が国日本に箸の文化が入ってきたのは、弥生時代の末期であると言われています。
その当時の箸は現在のように二本一組の箸ではなく、折箸という細く削った一本の竹をピンセットのように折り曲げた形状の物を食事の際に使用していたと言われています。
ですが、当時の箸は一般の人が使うものではなく、神様が使う神器であり、または天皇だけが使うことを許された神聖なものであったとされています。

そして箸が日本で初めて一般の食事に使われたのは7世紀の初め頃であります。
また、初めて箸を食事に使わせたのは、みなさんよくご存じの聖徳太子、その人であります。
聖徳太子は隋(現時の中国)に使節を送ります。 そこで使節団は王朝の人々に歓迎を受けたのですが、王朝の人たちが箸を使って食事をしているのを見て大変驚いたそうです。
日本に戻った使節からこの報告を受けた聖徳太子も驚き、そして、今度中国の使節を日本に招待する時を見越して、大急ぎで箸を使った食事の作法を朝廷の人に習わせたそうです。ここから、日本で食事に箸を使う風習が始まりました。

その後は、みなさんもご存知のように食文化の発展に伴い、竹以外にも様々な材質の箸が生み出されていきます。
江戸時代にはいると漆塗りの技術を施した塗箸なども生まれたりしています。

こうして様々な背景から生まれた箸を、見つめ直すことも日本人としては大切なことでしょう。

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