機能性に優れた扇子の役割


日本が世界に誇る伝統文化の象徴とも言える扇子。
扇子の役割は、大きく2つに分けることができます。
ひとつは、扇いで涼をとるための役割です。
全面木製で大きさが30cmほどあるものもありましたが、夏用に竹と紙が使用されたものが作られてからは、扇いで暑さを和らげる目的で使えるようになりました。
暑さを和らげるために扇風機やクーラーを使う人も多いですが、扇風機が普及するまでは、庶民にとって扇子は夏に欠かせないアイテムでした。
もうひとつは、装飾品としての役割です。
扇子は平安時代に貴族の正装の必需品として用いられていました。
また、能や舞、茶道といった日本の伝統文化にも欠かせない重要な道具として用いられます。

日本の伝統工芸品の多くは中国をルーツとしているのですが、扇子は正真正銘日本で生まれたものです。
平安時代初期、宮中では筆記用具として木簡という薄い檜の札が使われていたのですが、これを糸で綴りあわせた檜扇が扇子の元とされています。
当時は主に男性が使っていたのですが、檜扇に絵が描かれるようになると、装飾品として女性が好んで使うようになります。
平安時代の貴族の正装の必需品として用いられていた扇子ですが、鎌倉時代以降は権力のシンボルとして、武士にも普及していきました。
戦国武将は戦場で軍勢を指揮する際に扇子を用いたり、護身用として鉄扇を持ち歩いていました。
武士階級では刀と同じぐらい大事なものと考えられており、武士の魂として尊ばれていました。
江戸時代には、そのカタチから「末広」と呼ばれ、縁起の良さからさまざまな場面で重要な道具として扱われ、庶民にも普及していきました。
現在では、主に和服での冠婚葬祭に祝儀扇という専用の扇子が一年を通して用いられています。
また、欧米で日本ブームが巻き起こっていますが、アニメや伝統芸能と並び、扇子も注目を集めています。

扇子を使っている方は、どこか上品に感じます。
それは日本で生まれた扇子だからこそ出せる日本独自の上品さです。
上品さを出したいという方は、日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

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